ダイヤモンドのカッターとポリッシャー、カットの歴史について
皆さんは、ダイヤモンドがどのようにしてカットされているのか考えたことがおありでしょうか?
これから婚約指輪などのダイヤモンドを揃えようと思われている方の参考にならば良いなと思い、ここでは、ダイヤモンドの原石から製品になるまでの職人の事や、またダイヤモンドのカットの歴史についても触れてみたいと思います。
ダイヤモンドの加工には、「カッター」と「ポリッシャー」と呼ばれる職人達が携わっています。
「カッター」も「ポリッシャー」も、どちらもダイヤモンドのカットを行う仕事ではありますが、その仕事内容は微妙に異なります。
今回は、このダイヤモンドの「カッター」と「ポリッシャー」の違いや、カットの歴史について詳しくお話させて頂きます。
目次 |
1.ダイヤモンドの「カッター」とは
「カッター」とは、文字通りダイヤモンドを原石からカットしていく作業をする職人のことを指します。
ダイヤモンドは宝石の中で一番硬度が高く、傷を付けることは出来ません。
それなので、良く「ダイヤモンドは何者にも征服されない」「ダイヤモンドは何者にも傷つけられない」と言われ、結婚指輪や婚約指輪などのブライダルジュエリーにも用いられてきています。
そのぐらい硬い宝石ですので「割れにくさ」=「靭性(じんせい)」に対する抵抗力は低いものになっていますが、一方で、ある一定方向からの衝撃を受けるとパンッと割れると言う性質も実は持っています。
この割れる結晶方向を「劈開(へきかい)」と呼び、その「劈開(へきかい)」を利用しながらダイヤモンドはカットされていきます。
1900年代以前は、まだダイヤモンドの結晶方向がまだ判らなかったので、カットは経験や技術を持った一部の職人だけが出来る作業でした。
1980年代になって、レーザー技術の大きな進歩で、ダイヤモンドの原石をスキャンし、内包物のある位置や切断可能な位置などを調べ、カッティングの形を決めていく作業が出来るようになりました。
このようにして、ダイヤモンドの原石は、切断前にどこでカットしていくのかの計画をしっかり立て、進められていきます。
この計画を立てる作業をグルーピング作業と呼び、そのグルーピングをし、カットしていく職人の事をダイヤモンドの「カッター」と呼んでいます。
原石からいかに有効にグルーピングするかもカッターの重要な作業です。
2.ダイヤモンドの「ポリッシャー」とは
「ポリッシャー」とは、「カッター」によってカットされたダイヤモンドの表面を研磨する職人のことです。
ダイヤモンドは硬度が高いので、同じ硬さのダイヤモンドでしか研磨出来ず、そのため粉末状のダイヤモンドを付着させた研磨用の工具を使って磨いていきます。
より細かい面を一つ一つ付けていき、吸収した光を反射して美しい輝きを放つダイヤモンドに仕上げる最後の作業をポリッシャーがしていきます。
カッターが原石からダイヤモンドの形を作り、それをポリッシャーが磨いて仕上げるというのが流れで、同じダイヤモンドの加工でも担当する職人や工程が違っています。
3.ダイヤモンドカットの歴史について
ダイヤモンドのカットの中でも一番代表的なのが「ラウンドブリリアントカット」です。
・ラウンドブリリアントカット・・・現在、婚約指輪でも良く使われている一般的なカット
真上から見た時に真円で、シンメトリーで均一なカットが施された形状ほど美しい輝きを放ち、価値のあるダイヤモンドとして扱われます。
現在、婚約指輪で一般的ともいえる人気のダイヤモンドカットは、このラウンドブリリアントカットです。
ラウンドブリリアントカットは、様々なカットの中でも、最も効率良く光を反射させ、白い光が印象的な美しいカットと言われています。
また、ダイヤモンドの鑑定書にも記載される、クオリティを見る際に用いられている4Cは、このラウンドブリリアントカットの場合のみを想定とした基準になっています。
しかし、この「ラウンドブリリアントカット」が考案されるまでには、ダイヤモンドのカットには様々な歴史がありました。
最初にダイヤモンドのカッティング技術が発見されたのは14世紀頃で、それまではカッティングの方法が分からず、原石としてのダイヤモンドが一般的でした。
それから、少しずつダイヤモンドの性質が研究され、割ることで形を整えていくことが出来ると分かり、より美しい輝きのカットが作られていきました。
具体的には、ダイヤモンドの「劈開(へきかい)」という衝撃に弱い方向に沿って割れる特性を利用して、決まった方向に原石を手作業で叩き割って形を整えていく方法です。
ただしこの頃は今ほど細かいカット数ではなく、「ポイントカット」と呼ばれる8面体のひし形のような形をしたダイヤモンドがほとんどでした。
また当時はダイヤモンドの正しい形といえば8面体で、それ以外は偽物という風潮も人々の間であったそうです。
しかし当時はまだダイヤモンドの研究があまり進んでおらず、手作業でのカッティングが主で、上手く割れずに失敗してしまうこともあるなど、リスクの多い作業でした。
その後、時代が進むにつれて、ラウンドブリリアントカットに至るまでに以下のカットが作られていきました。
・テーブルカット・・・15世紀頃に作られ、主流となったカットです。
8面体であるポイントカットの上下部分を横に割り、ダイヤモンドの粉をオリーブオイルで溶いたものをダイヤモンドに塗り、研磨機を使って形を整えます。
・ローズカット・・・16世紀に作られた、表面に三角形のカットが無数に付けられていて、独特の光の反射が楽しむことが出来るカットです。
底部分が平らでパビリオン(尖った部分)が無い形状になっています。
・オールドシングルカット・・・17世紀に、テーブルカットをベースに新たに作られたカット。
真上から見た時に8角形になっていて、クラウン(宝石の上の部分)とパビリオン(宝石の下部分)に8面のカットがそれぞれ入っています。
・マザランカット・・・17世紀後半に考案された、より面の数が増えて光の反射を意識したカットです。
真上から見た時の形は少し角を落とした四角で、前よりも丸い形に近づいてきました。
最初のブリリアントカットとも呼ばれています。
・オールドマインカット・・・同じく17世紀に開発された、より面が多く光の反射が魅力的な形状になったカットです。
ただし、まだこの時点では真上から見た時に若干丸みを帯びた四角い形で、真円には遠い形状でした。
・オールドヨーロピアンカット・・・18世紀に考案された、真上から見た時に真円の形になったカットです。
オールドヨーロピアンカットは、今まで以上にラウンドブリリアントカットの形に近づきました。
その後20世紀初頭に入り、マルセル・トルコフスキー氏によって「ラウンドブリリアントカット」が開発され、宝石の代表的なカットとして世の中に広まっていきました。
そして1980年代に入ってレーザー技術が進み、より無駄なく効率的にカットを行うことが出来る様になり、高水準のダイヤモンドがさらに市場に出ることになりました。
今ではカットの工程で手作業を行うことはほとんどなくなり、レーザーのみでのカットが主流です。
また1990年には、世界最高の研磨職人であるフィリッペンス・ベルト氏によって、世界初のグレードであるエクセレントの評価を達成しました。
1993年には、エクセレント評価のダイヤモンドの中にハートと弓矢の形が見られる「H&C(ハート&キューピット)」が発見されました。
これはカット評価の中の「プロポーション(全体の評価)」「ポリッシュ(表面の研磨状態)」「シンメトリー(対称性)」の3つがエクセレントの場合に見られる現象です。
このH&Cが最高品質なダイヤモンドの証の一つとして知られていき、現在では婚約指輪に最適なダイヤモンドのグレードとして扱われています。
私たちSt.Maria(サンタマリア)でも、婚約指輪に使用するダイヤモンドのほとんどは、このH&Cです。
もちろんお客様のご予算・ご要望に合わせて違うランクのダイヤモンドをご用意することも可能ではあります。
結婚指輪や婚約指輪のデザインや加工の事だけでなく、ダイヤモンドに関してもお客様のご要望のものをご用意する事が可能です。
■婚約指輪・ダイヤモンドの選び方*CARAT(キャラット)についてはこちら
■婚約指輪・ダイヤモンドの選び方*CLARITY(クラリティ)についてはこちら
■婚約指輪・ダイヤモンドの選び方*COLOR(カラー)についてはこちら
■婚約指輪・ダイヤモンドの選び方*CUT(カット)についてはこちら
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